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赤外線放射温度計(IRセンサ)によるブレーキシステムの温度計測

ブレーキシステムは自動車の最も重要な部品の一つです。ブレーキシステムの問題は重大な事故につながる可能性が高く、絶対に避けなければなりません

ブレーキ性能のわずかな低下でさえも深刻な結果をもたらす可能性があります。たとえば、ブレーキが過熱した場合、ブレーキングの効率が低下します。また、過熱されたことで、火災の原因となる可能性があります。そのため、製品の研究開発段階において、ブレーキシステムのストレステストをすることは不可欠です。一般的にその試験では、性能の限界でブレーキ温度の計測やモニタリングを行います。

この資料では、赤外線システムを使ってブレーキシステムをテストする方法について紹介します。また、視野、焦点距離、IRセンサの校正の複雑さについても紹介します。

hermetic sealed probe for engine oil

赤外線センサが選定される理由

通常、ブレーキの温度計測をする時に計測域は高速回転しています。熱電対のような通常の表面接触型のセンサは、ワイヤーが絡まっている使用することが出来ません。

また、ワイヤレス送信機もこの問題を解決することは出来ません。ブレーキは非常に速く回転して振動するため、ワイヤレストランスミッタ内部の電子機器の性能に影響を与える可能性があるからです。

したがって、赤外線センサを使用することが適していると考えられています。

赤外線センサにおける視野について

ブレーキの温度計測は、計測域に対して任意の距離や角度でIRセンサを向けるだけの簡単なものではありません。センサに応じた計測域の視野を考慮しなければなりません。

赤外線センサの視野は、センサから指定された距離にある計測域のサイズを定義します。下図のように表記されており、センサによってその距離と範囲が変わります。

Field of view of a IR sensor 各タイプのIRセンサは、10:1、20:1、40:1など、特定の視野を持っています。これらの数値は次の間の比率を示しています。

  • 計測対象からセンサまでの距離(左側の数字)

  • 計測域のスポットサイズ(右側の数字)


たとえば、ブレーキから200 cmの位置にある20:1のIRセンサは、直径10 cmのターゲットスポットが「視野」になり、 300cmでは、スポットサイズは15cmになります。このスポット範囲が計測範囲となります。

赤外線センサはその視野内の平均温度を計算します。センサのスポット範囲は計測域に正確に設定してある必要があります。そうでないと、読み取り値が正確になりません。

視野範囲の焦点

以下の2つの例では、視野を特殊な計測用に設定する方法を紹介します。

  • ブレーキ全体の平均温度の計測: ブレーキ全体の平均温度を計測する場合、ブレーキの大きさを超えずにIRセンサに出来るだけ広い視野を設定することが重要です。直径30cmのブレーキと10:1のIRセンサを使用した場合は、300cmはなれた場所に設定するのが適切です。


  • ブレーキの特定部分の計測:計測範囲が、上記と同様の環境で、ブレーキ上の特定の1 cmポイントを計測する場合、温度プロファイリングのためには、センサの位置は計測域から10cm離した場所に設置するのが最適です。
IRセンサの視野の設定は、計測スポットのサイズと位置でコントロールします。また、視野角も計測域のサイズと形状に影響を与えます。

焦点距離について

IRセンサにおいて、もう1つの重要な仕様は、焦点距離です。 IRセンサは、計測域に対して有効な焦点距離の範囲内に設置されている必要があります。

Transmitance depending the wavelength

近距離タイプのIRセンサの範囲は約0.2cmから150cmですが、遠距離タイプのセンサでは1.5m以上の範囲で計測することができます。しかしながら、視野を広げるためにIRセンサを遠くに移動するだけでは出来ません。 設置には有効なセンサの焦点距離を考慮する必要があります。

望遠鏡の接眼レンズを使った拡大:IRセンサの中には望遠鏡の接眼レンズを備えているものもあります。近距離では、その光学システムは0.7mmというとても小さなスポットを測定できます。また小さめの計測範囲も離れた距離で計測することができます。たとえば、7.6cmのターゲットは9mの位置から測定できます。

球面収差と色収差

焦点の収束により生じる球面収差やレンズ材料の分散が原因で生じる色収差によって生じるあいまいさのため、視野の記述はすべて近似値になります。

球面収差 は、レンズの軸から遠く離れてレンズを通過した光線は、レンズ軸の近くを通過する光線よりも大きく曲がり、1点に収束せずにばらつく収差です。

色収差 は、光学材料(レンズ材料)の屈折率が波長とともに変化するために発生します。屈折率と波長にはより短い波長でより低く、短波長の光線はより曲げられ、レンズの近くに集束し長波長の光線はレンズから遠くに集束します。

したがって、すべての視野はあいまいさの影響を受けます。一部のIRセンサ製造元は、視野の記述に収差の影響を含めています。

赤外線放射温度センサ(IRセンサ)の選定

オメガエンジニアリングでは、幅広い範囲の赤外線放射温度センサ(IRセンサ)をラインナップしています。

OS-MINIシリーズは、2:1から30:1の視野で、-20°Cから1,020°Cの温度範囲で使用できます。 ラインナップされているモデルには、オプションのタッチスクリーンコントロールやMicroSDへのデータロギング、最大180°Cに耐えモデルもあります。

OS-MINIシリーズ赤外線放射温度計(IRセンサ)製品ページはこちら

USB出力の赤外線放射温度計OS-MINIUSB製品ページはこちら

製品仕様及び選定に関するご質問はjpesales@dwyeromega.comまでご連絡ください

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