加速度計とは、物体の振動または物体の運動の加速度を測定する装置です。振動より引き起こされる力により、または運動の変化 (加速度) より引き起こされる力により、質量が圧電体を「押しつぶされ」、その圧電体に印加された力に比例した電荷が生じます。この電荷は力に比例しますが、質量が一定であるので電荷は加速度に比例することになります。
圧電加速度計 (振動センサー) には2つのタイプがあります。1つめのタイプの加速度計は、「高インピーダンス」な電荷を出力する加速度計です。このタイプの加速度計では、圧電性結晶が測定器に直接接続される電荷を生成します。この電荷を出力させるには、特別な調節と研究施設でごく普通に見かける計測装置が必要です。このタイプの加速度計は、低インピーダンス出力をもつモデルが使用できない高温 (>120C) 環境でも利用されます。
2つめのタイプの加速度計は、低インピーダンス出力をもつ加速度計です。低インピーダンス加速度計のフロントエンドには電荷出力型加速度計が使用されていますが、これにはマイクロ回路とFETトランジスタが内蔵されています。これにより、電荷を標準的な計器とインタフェースしやすい低インピーダンス電圧に変換しています。このタイプの加速度計は産業界で一般的に利用されています。ACC-PS1のような加速度計用電源は、このマイクロ回路に適切な電力、18~24 Vで2 mAの定電流である電力を供給しています。また、この電源はDCバイアスレベルを除去しており、加速度計のmV/G定格次第ですが一般的には最大+/- 5Vまでのゼロベース出力信号を生成しています。OMEGA(R)加速度計は、すべてこの低インピーダンスタイプのモデルです。
加速度計の仕様
ダイナミックレンジは出力信号が歪まない、クリップされない範囲内で、加速度計が計測できる最大の振幅 (+/-) のことです。このレンジは、一般的にはG (重力加速度) で指定されます。
周波数応答は、質量、圧電性結晶の圧電特性およびケースの共振周波数で決まります。これは、加速度計の出力が指定された範囲内 (通例は+/- 5%) の変動を示す周波数範囲に対応します。
重力加速度、1Gは地球の重力加速度であり、32.2 ft/sec2、386 in/sec2または9.8 m/sec2です。
接地-加速度計の信号接地には2つのタイプがあります。ケース接地型加速度計では、その信号の低電位サイドがケースに接続されています。ケースが信号経路の一部となっており、ケースが導電性物体に接続されることがあるので、このタイプの加速度計の利用に際しては地表面からのノイズを避けるための注意が必要です。非接地型加速度計では、その電気コンポーネントはケースから絶縁されているので接地誘導ノイズの影響ははるかに小さいです。
高周波数限界は、出力偏差が規定された値を超え始める周波数です。これは、一般的には加速度計の機械的共振で支配されています。
低周波数カットオフは、出力が規定された精度を下回り始める周波数です。この周波数以下でも出力はカットオフされませんが、周波数が低くなるにつれて感度が急速に劣化します。
ノイズ-増幅回路で生成される電気的なノイズです。ノイズは、帯域で指定されるか (周波数スペクトルのある範囲について指定されるか) または特定の周波数でのスペクトルで指定されます。ノイズレベルは、G単位つまり0.0025 G (2~25,000 Hzにわたり) で指定されます。一般的にノイズは周波数が高くなるにつれて減少するので、高周波数でのノイズに較べて低周波数でのノイズの方が問題となります。
共振周波数は、センサーが共振するまたは鳴動する周波数です。周波数の測定は、加速度計の共振周波数よりも十分低い点でなされるべきです。
感度は、Gで測定されるある力により生成される出力電圧です。一般的に、加速度計は感度が10 mV/Gであるか100 mV/Gであるかの2つのカテゴリに分類されます。AC出力電圧の周波数は、振動周波数に合致しています。出力レベルは、振動の振幅に比例しています。低出力加速度計は高振動レベルの測定に使用されます。一方、高出力加速度計は低振動レベルの測定に使用されます。
温度感度は、測定された温度あたりの電圧出力です。ある温度変化に関して、その変化があった時の出力変動を指定された限度内に維持するために、センサーは温度補償されています。
温度範囲は、電荷を低インピーダンス出力に変換するマイクロ電子回路により制限されています。この範囲は一般的には-50~120Cです。
加速度計の選定-ご希望の用途に適した加速度計の選択に際しては、次のような多くのパラメータを考慮するべきです。
- モニターすべき振動の振幅はどの程度であるか?
- モニターすべき周波数の範囲はどの程度であるか?
- 設置場所の温度変化はどんな範囲であるか?
- モニターすべきサンプルのサイズや形状はどんなものであるか?
- 電磁場があるか?
- 設置区域内に高レベルな電気的なノイズがあるか?
- 加速度計の取り付け面は接地されているか?
- 腐食性を有する環境であるか?
- その区域では、本質的に安全なまたは防爆型の計器を要求しているか?
- 設置区域は、湿った区域または水が流れる区域であるか?
考慮すべきその他の事項:
加速度計の質量は、モニターすべきシステムの質量よりもはるかに小さいものであるべきです。
加速度計のダイナミックレンジは、サンプルに予想される振幅範囲よりも広いものであるべきです。
加速度計の周波数範囲は、予想される周波数範囲に合ったものであるべきです。
加速度計の感度は、既存の計器に適合した電子的出力を生成できるものであるべきです。大振幅振動の測定には低感度な加速度計を、逆に小振幅振動の測定には高感度な加速度計を使用するべきです。
取り付け方法
振動を正確に測定するために、センサーは機械表面に直接取り付けるべきです。つぎのような数種のタイプの方法で取り付けができます:
- 平らな磁石での取り付け
- 2極磁石での取り付け
- 接着剤での取り付け (エポキシ接着剤/シアノアクリレート接着剤)
- スタッドでの取り付け
- 絶縁スタッドでの取り付け
磁石を用いた取り付け方法は、一般的には暫定的なものです。
磁石を用いた取り付け方法は、工作機械や構造体、モータなどに普通に使われる強磁性材料に加速度計を取り付けるために利用されます。この方法を使うと、複数の場所で測定をするためにあるサイトから別のサイトへ簡単に加速度計の位置を変えることができます。2極磁石を用いた取り付け方法は、曲面である強磁性体表面に加速度計を取り付けるために利用されます。
接着剤およびネジが切ってあるスタッドを用いた取り付け方法は、加速度計を恒久的に取り付けるために利用されます。
エポキシ系やシアノアクリレート系の接着剤は、ほとんどの場合に満足できる接着性を示します。接着層フィルムの柔軟性に起因する振動の減衰は好ましいものではないので、これを避けるためにフィルムはできるだけ薄くします。接着剤で取り付けられた加速度計の取り外しにはレンチを使い、ケースのレンチを挿入するフラットな面にレンチを入れて、レンチをねじると接着面から加速度計が剥がれます。「ハンマーは決して使用しないこと」ハンマーで叩くと加速度計が壊れます。
スタッドを利用した取り付け方法が好ましい方法です。
この方法では、構造体にドリルで孔を開けネジをタップする必要がありますが、しっかり確実に取り付けができます。センサーを壊したりネジ山をつぶしたりしないように、必ず指定されたトルク設定を守ってください。