熱電対線とは
熱電対において、検知ポイントから冷接点補償(cjcエンド)のポイントまでを接続するために使用されるワイヤです。cjcエンドでは信号を測定します。熱電対は温度を測定するセンサで、検知エンドにおいて接合された2種類の金属から構成されています。異なるタイプの熱電対(J、K、T、Eなど)は、ワイヤで異なる金属の組み合わせを使用しています。cjcエンドでは
熱電対からのミリボルト単位の電圧値を測定します。これが検知エンドとcjcエンド(基準エンドとも呼ばれえる)の間の温度の差を表します。
熱電対素線とは
熱電対素線は絶縁の施されていない(被覆がない)ワイヤです。通常はスプール巻で販売されており、注文する際にはペア(プラスマイナスセット)で注文します。
被覆付熱電対線 (デュープレックスワイヤ) とは
被覆付熱電対線は、熱電対素線に被覆を施した簡易的でリーズナブルな熱電対線です。
熱電対は異なる2つの金属接合したもので熱電対の合金は通常、ワイヤの形で入手します。 2種類の異なる金属導体の両端を接続して閉回路を作り、一端を加熱するなどして、両端に温度差を生じるとその金属固有の熱起電力が発生し、回路中に電流が流れます。その現象をゼーベック効果と呼び、この原理を利用して温度を計測します。 この2種類の金属の組み合わせを「
熱電対」と呼びます。 熱電対の起電力特性については3つの法則(均質回路の法則・中間金属の法則・中間温度の法則)があり、熱電対では温度測定は電圧の変換によって表示されます。 熱電対の種類は、熱電対を構成する金属成分の違いによって分けることができます。熱電対のタイプ(種類)は、1文字のアルファベット(ANSI・IEC・JISなどのカラーコード)で表されます。いずれかのタイプの熱電対を選択し、電圧値を
DAQ(データ収集システム)で計測・収集すれば温度を算出することができます。
補償導線とは
補償導線とは、熱電対と測定器をつなぐリード線のことです。補償導線は単体で使用することができず、熱電対と一緒に使う必要があります。 熱電対とほぼ同等の熱起電力特性の金属を使用した導線で、熱電対と測定計器の間が離れている場合に使用します。 そして、補償導線と熱電対を接続する時には熱電対の種類(規格)に合わせる必要があり、補償導線の使用温度範囲で専用の導線を使用します。また補償導線は、使用温度範囲内で組み合わせて使用する熱電対とほぼ同等の熱起電力を補償するものであり、単独での温度測定に使用されることはありません。 補償導線は熱電対の種類に適合した種類があり、熱電対との補償接点温度(接続点温度)や構成材料、補償導線自体の許容誤差等が規格化されており、補償導線の種類は、色で識別できるようになっています。
- 補償導線は、熱電対とほぼ同等の熱起電力特性の金属を使用した導線
- 熱電対より安価なため、補償導線が一般的に使用される
- 熱電対の種類に合わせる必要があり、補償導線の使用温度範囲で専用の導線を使用する
- 補償導線は、単独での温度測定に使用されることはない
- 補償導線は、色で識別することができるようになっている
シース熱電対 (MIケーブル)とは
シース熱電対は極細の耐熱金属保護管内(シース)に熱電対素線を挿入し、無機絶縁物(高純度マグネシウム)で密封充填したものです。超極細線なので、極小部分の点測定に最適で、さらに絶縁性、機密性、応答性にも優れ、高温での使用も可能です。しかし高温活性ガス雰囲中での測定は、耐久性が極端に悪くなる場合があります。
絶縁されている熱電対線(被覆付熱電対線)・補償導線の識別方法
熱電対線の被覆は、識別用のカラーコードで表されています。一般的な指針としては、被覆付熱電対線のマイナス線は赤になっており、プラス線には熱電対を表す色になっています。被覆付熱電対線(デュープレックスワイヤ)の外部被覆は通常茶色です。高温ワイヤの場合、白い素材にカラーコードが記されたトレーサネジ山が付されているのが一般的です。また補償導線は、全体に熱電対線別の色が付けられています。
標準精度と特別精度(SLE)の違い
特別精度(SLE)は、JIS規格クラス1相当の精度の熱電対線です。SLEワイヤは標準ワイヤと基本的には同じですが、より高精度となります。熱電対の精度はタイプ(J, K, T, E...などの種類)によって異なります。例えば、低い温度範囲のものはタイプTで、プラス線に銅、マイナス線にコンスタンタン (銅とニッケルの合金) が使用されており、優れた精度があります。
被覆付熱電対線(デュープレックスワイヤ)と補償導線の違い
被覆付熱電対線(デュープレックスワイヤ)は、熱電対の検知ポイント(プローブ部)を作るのに使用されるワイヤです。補償導線のワイヤは、プローブからの熱電対信号をその信号を読み取る装置に送るためにのみ使用されます。補償導線のワイヤは通常、周囲温度限界が低くなっています。これはワイヤを使用できる温度のことです。これはプローブから受け取った高い温度を意味する信号を伝えることはできますが、このワイヤをもっと高い温度にさらすことは物理的にできません。熱電対線を補償ワイヤとして使用することはできますが、補償グレードのワイヤを
熱電対の検知ポイント(プローブ部)で使用することはできません。補償導線の部品番号には通例"EX"の型番になっています。