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ロードセルの取付と設置
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ほとんどの
ロードセル
のデータシートには出力、非線形性、ヒステリシス、クリープ、感度の温度依存性などの説明が載っています。このような項目は、理想的な軸に沿った荷重が掛かる場合に適用されます。この論文では軸から外れた不完全な取付けをした時の
ロードセル
の応答について説明します。
斜め荷重
斜め荷重とは、意図した点に向かってはいるが主軸に対して角度を持っている荷重を言います。
斜め荷重が起こるには最低 2つの原因があります。1つは軸荷重と横荷重が合成されために起こるもの、もう1つは荷重の方向に梁が正しく取り付けられていないために起こるものです。水平でないセルの取付けはよくあります。この状況を図1で説明します。
斜め荷重Pは軸荷重と横荷重に分解できます。
ロードセル
はもちろん軸方向の荷重Pcos0には反応します。横荷重成分が軸方向荷重に比べて小さい場合には、斜め荷重による誤差が小さいことは校正で明らかです。非線形性には影響しませんので測定精度に関しては誤差ではありません。設置時や保守において、正確に水平を出すのは現実には難しいので、要求される精度に対応して処置して下さい。斜め荷重の測定誤差の原因として深刻な状況があります。それは角度が一定でない状態です。
セルに対する角度が変動すると非線形性の他にヒステリシス誤差も発生する可能性があります。これらの誤差は校正で無くすことはできません。例えば、支持が不適切なために
ロードセル
のマウントが、何らかの弾性(たわみ)を持っているとします。
無負荷の時は0°半負荷の時は1°全負荷の時2°であれば、非線形性は下の式の計算から、フルスケールの 0.023%で、このほかに非線形性誤差があり得ます。
%FS=(cos1
°
- cos2
°
)(1/2)=0.00023
横荷重
図1:荷重のタイプ
軸荷重がかかる点において、主軸に対して 90°の角度の力を横荷重と呼びます。横荷重は動荷重や構造物の膨張収縮や各種の取付け不備によって起こる問題です。純粋な横荷重は研究室でも作り出すことは難しく、純粋な横荷重に対する
ロードセル
の反応は測定が難しいのが実情です。軸荷重に比較して横荷重の応答は非常に小さく、試験荷重が主軸に対して正確に 90°でなければ、小さな軸方向の荷重成分が大きな横方向の荷重成分を大きく上回ってしまうことになります。
取付け
前述の軸方向と軸から外れた荷重に対する情報は、主として梁の端にかかる荷重に対するものでした。続いて梁の取付け方について見ていきます。
片持ち梁を正しく取り付ける方法に一つしかないということはありません。各現場では、アプリケーションと費用の制約に対して、最適な方法を経験の蓄積から確立しています。以下に、正しい取付片の例についてを解説します。
図2は片持ち梁の取付方法を示しています。基礎面A にボルトCとDで取付けています。荷重はEです。
ロードセル
の取付をさらに詳しく
図2:簡単な取付図
1. 面Aは斜め荷重を最小にするために水平にします。しかし、最小荷重から最大荷重の範囲で基礎が安定していれば、取付けの水平がある程度以上出ている限り、誤差の原因になりません。基礎の安定性に対する要求度は
ロードセル
の容量に比例します。10,000 lbf (約4.5 tf)を超える荷重に対して安定した片持ち梁というのは現実的ではなく、その場合には両持ちの
ロードセル
を使う方が簡単です。
2. 面Aを平らにしてください。ボルトCとDで
ロードセル
の底面をAの取付け面にしっかりと固定します。
この二つの面が平らでないと
ロードセル
が安定しません。また梁に不要な応力が発生し、
ロードセル
の出力に非線形性やヒステリシスを起こす原因となります。
ロードセル
の取付け面の平面度は約5μm以内です。A面も同様にします。
3. ボルトCおよびDは、引っ張り応力がかかりますのでグレード8以上の高強度ボルトを使います。
E 点に荷重がかかるとボルトには引っ張り力が働きます。このような荷重ではボルトを伸ばし
ロードセル
を面Aから引きはがすように働きます。もちろん、斜め荷重の誤差を防ぐため、セルは面 Aにしっかりとついていなければなりません。したがって、ボルトは適切に締め付けなければならず、その締め付けに耐えうるのはハイテンションボルトだけです。
4. 上記のような理由で取付けボルトは推奨トルクで締め付ける必要があります。必要なトルクはボルトのサイズ、セルの容量、セルの寸法で決まります。
5. ボルトが伸びることは精度に影響するので、短いボルトの使用をお勧めします。基礎のネジは面A表面からすぐに始めてください。セルと基礎面の間に大きなくぼみをつけたりスペーサを入れると、ボルトの頭から基礎面までの距離が長くなり
ロードセル
の厚みを超えるので避けてください。
6. ワッシャを使用しても結構です。使う場合には焼き入れしたグレード8または同等品をお使いください。ロックワッシャは使っても差し支えありません。
7. 2,280Kgf (5,000lbf) を超える高荷重
ロードセル
では繰り返しの荷重で B点が変形することがあります。そのような場合には基礎に焼き入れした鋼材の使用をお勧めします。片持ち梁式の本体は硬度約 Rc45となっており、基礎に適した硬さより少し低めとなっています。誤差の原因を知り、適正な設置方法を採用すれば、設置による誤差を小さくすることができます。
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