サーミスタ
サーミスタの抵抗値 / 温度の関係は負の相関で非線形です。これは回路設計の技術者にとっては問題となります。しかし、マッチングのとれた1対の
サーミスタを使用することによって、非線形性が相殺され補正できます。その上、内部的に
サーミスタの非直線性を補うパネルメータやコントローラが市販されています。通常、
サーミスタは 25℃での抵抗値に従って設計されます。最も一般的なのは2252Ωで、他には5,000と1万Ωがあります。特に指定されない限り、ほとんどの機器が2252Ωタイプの
サーミスタに対応しています。
物質表面から放たれる熱放射を測定します。電磁エネルギーは温度に関わらず、すべての物体から放射されています。多くのプロセス状況では、
エネルギーは赤外領域にあります。温度上昇に従って、赤外線の量とその平均周波数は上がります。異なった材料は異なったレベルの効率で放射が起きます。この効率は放射率として、0〜1の10進数か0〜100%の割合で定量化されています。皮膚を含むほとんどの有機材料は非常に効率的で、0.95(95%)の放射率を示します。他方では、光沢のある金属は、室温では効率の悪い放射器である傾向があり、しばしば20%以下の放射率を示します。
適切な測定をするためには、
赤外線計測センサは、測定表面の放射率を考慮に入れなければなりません。参照テーブルでこれを調べることができます。しかしながら、テーブルは酸化や平担性などの局所的な表面状態は考慮していない点に注意してください。放射率がわからない場合は、わかるレベルに放射率を「強制する」方法があります。これは、マスキングテープ(放射率95%) や高放射率の塗料で表面を覆うことにより可能です。
センサ入力の一部には、測定の目標となっている設備や材料の表面から放射されていないエネルギーが含まれるのが普通です。これは、他の設備や材料から来たエネルギーが測定する表面で反射されているからです。放射率は、その物質を発生源として、その表面から放射されるエネルギーですが、「反射」は別の熱源から反射されたエネルギーです。不透明な材料の放射率は、反射率の高い物質に比べ大きくなります。つまり放射率が高い放射体は、反射率が低くなり、表面温度を測定する際の大きな障害にはなりません。逆に、20% の放射率を持つ面を測定するときには、センサに達するエネルギーの多くが、例えば、近くの炉からの熱の反射である可能性があります。要するに、熱く見えても、他の物体からの熱エネルギーを反射をしている測定面に注意する必要があります。
赤外線装置は、カメラのレンズと同じで、ある一定の視野をカバーしています。例えば、 装置は1度の視円錐または100度の視円錐を「見る」ことができます。表面を測定するときには表面の視野を完全に満たす事を確認して下さい。測定表面が視野より小さい場合は、より近くに動くか、視野がより狭いセンサを使用します。または、背景の温度の影響が避けられない場合はその度合いを考慮して、測定値に反映させます。
選択ガイド
RTD は
熱電対より安定しています。しかし、温度測定範囲は広くはありません。
RTDは約250〜850℃まで測定できますが、
熱電対は約270〜2,300 ℃まで測定可能です。一般的に、
サーミスタは、40〜150℃の間で使用されていますが、その範囲内で高精度測定が可能です。
サーミスタと
RTD は共通の問題点があり
ます。両方とも抵抗値を使用するセンサで、センサに電流を通すことによって機能します。一般的に非常に小さい電流が使われますが、それでもいくらかの自己加熱が起きてて、温度測定値に誤差が生じます。静止流体(流れや撹拌がないもの)を測定するとき、抵抗センサの自己加熱は大きな問題になる場合があります。この問題は
熱電対では起こりません。
熱電対は本質的には零電流デバイスだからです。
比較的高価ですが、
赤外線センサは温度が非常に高い測定に適しています。3,000℃まで利用可能で、
熱電対や他の接触タイプの測定範囲をはるかに超えています。また、測定される表面に対して非接触が望ましい時は
赤外線式が有効です。したがって、乾燥室から出て来たばかりの塗装面など濡れた表面や壊れやすい物の温度測定に適しています。化学的に反応する面や
電気的ノイズが大きい物質も
赤外線計測の理想的な測定対象です。この方式はまた、壁などの非常に大きい表面の温度測定に有効です。
熱電対や
RTDで測定するには、大規模なセンサアレイが必要となります。