シース熱電対の選択方法

OMEGACLADプローブの金属シースは、化学的な活性雰囲気から内部の熱電対素線を保護するのに使用されます。熱気が熱電対素線を破損して永久に機能が失われる場合があります。最適な金属シースを選択するには、使用目的、使用される業種、および使用する国の基準に基づき決定します。例えば最も一般的な OMEGAの金属シースは、SUS304とインコネル600です。この金属シースは、食品加工を含むほとんどの産業で使用されています。SUS304は一般的な合金で、入手が簡単な上、材料と加工の費用が低いのが特徴です。しかし、石油、医学、原子力、航空機、発電などの一部の産業では、その業界特有の規格を持っていて、より複雑で高価な合金を必要とする可能性があります。
次に述べるのは、オメガエンジニアリング社製のOMEGACLAD シース素材のリストです。このリストに載っていない素材は特注仕様となります。価格、入手の可能性、およびサイズに関しましては、当社カスタマーサービスにご相談ください。

溶接が比較的簡単なので、オメガエンジニアリング社は、SUS304の低炭素バージョンを使用しています。一般的には、304Lは304の互換品です。

アプリケーション：
・食品と飲料加工
・化学処理
・酪農
・診療器具
・製薬設備
・原子炉設備
・低レベル腐食剤の容器

耐熱性:周期的プロセス用では最大871°Cまで。899°C付近より上の連続使用には、インコネル600を使用してください。

このニッケルとクロムの含有量が高い合金は、ほとんどのステンレスより高価です。高温での連続使用に適しており、ほとんどの単体の酸と高度に純粋な水に対して耐腐食性があります。

アプリケーション：
・炉の部品
・化学薬品と食品加工
・原子力発電
・腐食性化学薬品
耐熱性:最大1149°C

この合金は、高温の空気に対して優れた耐久性があります。酸化の進行を防ぐ酸化アルミニウム層が表面に形成されています。この酸化への抵抗力により、EMFドリフトにより熱電対が校正限界を超えるまで、長期間使用できます。また、水素ガスに対する耐久性や高温に強い性能のため、広く使用されています。製造の困難さや加工の難しさのため、上で述べた合金のいずれよりも高価です。

アプリケーション：
　・炉の部品
　・ガスタービン産業
　・触媒コンバータ部品
　・航空宇宙用のジェットエンジンやロケットエンジン
　・耐熱性アンカー
　・廃棄物焼却炉
耐熱性:最大約1216°C、加熱水素中では1093°Cまで許容できます。

最大1,038°Cまでスケーリングが起きないので高い温度領域でよく使用されます。SUS304より強く、この高温領域での空気による変質が少ない。高温の化石燃料ガスの中でも有効。

アプリケーション:
　・高温度・エアヒータ
　・設備のベーキング処理・化学処理装置
　・炉の部品・熱交換器や電力設備(硫黄に接触しないもの)
　・石油精製
耐熱性:最大1038°C

モリブデンの添加により、ほとんどの化学物質、塩、および酸に対して、大半のステンレスより耐食性が高い。硫黄か塩素を含む液体に対して、強い耐性があります。

アプリケーション:
　・海洋の外部設備
　・化学工程と食品加工
　・製油設備
　・製薬設備
　・紙とパルプ
　・織物仕上げ
耐熱性:最大871°C
空気中で連続使用か、腐食性雰囲気中の周期的プロセスで使用可能。空気中の周期的プロセスでは、より高温が可能。

チタニウム含有である点を除いて、この合金はSUS304に類似しています。高温に露出される溶接部品向けで、427°C付近での長時間の空気接触や燃焼環境に特に適しています。

アプリケーション:
　・航空機排気とマニフォールド
　・ジェットエンジン部品
　・スタックライナ
　・溶接された設備
　・化学処理装置
耐熱性:最大871°C

この合金は鉄、クロム、およびモリブデンが添加されているため、標準的な合金より高価です。非常に優れた耐熱性と抗酸化力があります。比較的古い合金で、一部の高価な新型合金より優れた性能を持ち、かつ低価格です。

アプリケーション:
　・発電用のガスタービン
　・航空宇宙アプリケーション
　・工業用炉
　・ボイラと圧力容器
耐熱性:最大1177°C

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