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風速計入門


風速計は、ガスの速さまたは速度を測定する計器であり、ダクト内の気流のような閉鎖空間内の流れにでも、風のような非閉鎖空間内の流れにでも利用できます。速度を決めるために、風速計は流体のある物理的特性の変化または流れに挿入された機械的なデバイスへ働く流体の影響を検出します。

速度計は、全速度の大きさ、ある面内速度の大きさ、または特定な方向の速度成分を測定できます。

当社 (OMEGA) は、風や空気の速度を直接測定するためのさまざまなモデルの風速計を提供していますので、ご要求に応じたモデルを選択頂けます。通常、風速計は乱流状態であるガスの流れを測定します。多くの場合、平均速度の測定には羽根型風速計、熱式風速計および (一般的には気象台や測候所などで使用される) カップ型 (風杯型) 風速計が使用されますが、断面内を横断した風速のような乱流的な特性を測定する際には熱線型風速計が一般的に使用されます (「熱式風速計」という用語は、速度を決定するために熱伝導と速度の関係を利用しているあらゆる風速計を意味するために、しばしば使用されます)。

(気象台や測候所などで使用される) カップ型風速計は、カップの回転軸に垂直な面内の速度を測定しています。この回転軸が水平面に垂直となるようにカップ型風速計が取り付けられている場合、地面と平行な速度成分のみが測定されます。その他の羽根型風速計のような風速計は、羽根の先端と全速度ベクトルが揃うように使われます。風速計を使用する前に、風速計がどのように設置されるか、全速度のどの成分を風速計で測定するかを判断することが重要です。

風力計やアネモメータと呼ばれることがあるこの風速計は、全般的には熱線型と羽根型に分類されます。熱線型風速計は、(たとえば2000 ft/min以下のような) 極めて低速度の空気の流れを正確に測定するには最適なものです。15,000 ft/minほども高い速度を測定するために設計されたモデルもありますが、そのモデルでもまだはるかに低い速度まで極めて正確に測定できる能力を持っています。羽根型風速計では、気流の速度を検出するために回転するインペラーを利用しています。風速測定には、この羽根型風速計が最も適しています。このタイプの風速計の多くはさまざまな用途に対応するように設計されており、ユーザーが、ft/min、m/s、MPH、km/hやノットなどの測定単位を選択できます。サーモ風速計とは、気温測定機能をもつ熱線型または羽根型風速計のことです。温湿度風速計にはサーモ風速計機能と湿度センサー機能が付いていますので、ユーザーは完全な環境情報を得ることができます。データロギング風速計は、後で検討できるように測定データを保存するように設計されています。記録した大気速度データをPC上でレビュー、グラフ表示、さらには解析もできるようにPCへダウンロードできるモデルもあります。
 風速計のタイプ
HHF141羽根型風速計 羽根型風速計
機械的な回転速度を測る風速計の形式は、羽根型であるかプロペラ型であるかの属性に従い、説明されます。このタイプの風速計では、羽根の回転軸は風の方向に平行であるはずであり、したがって回転軸は一般的には水平になります。オープンな空間では風の方向が変動するので、この軸はその変動に追従する必要があります。たとえば鉱山の換気坑やビルの換気シャフトのように空気の動きがいつも決まった方向である場合、風向計として知られている風見が使われ、大変満足できる測定ができています。羽根型風速計には、温度、湿度、露点の測定や容積変換、データ記録などような機能が付加されています。
HHF42熱線型風速計 熱式風速計
熱式風速計には、周囲温度よりもいくらか高い温度に加熱される (数マイクロメータのオーダーの) 非常に細い線またはエレメントが使用されています。この線またはエレメント上を通過する空気の流れで、この線またはエレメントが冷やされます。大半の金属 (熱線としてはタングステンが良く使われます) の電気抵抗はその金属の温度で決まるので、線の電気抵抗と流れの速度の間の関係を知ることができます。

これを実現する方法はいくつかあります。熱線型風速計はCCA (定電流風速計)、CVA (定電圧風速計) およびCTA (定温度風速計) に分類されます。これらの風速計からの電圧出力は特定の変数 (電流、電圧または温度) を一定に保つようにしているデバイス内のある種の回路の出力です。さらにPWM (パルス幅変調) 風速計も使用されます。このタイプの風速計では、熱線がある指定された抵抗を示すまで熱線に電流パルスを繰り返し加え、その後、閾値である「床 (下限) 」に達するまではパルス印加を中止します。この「床」に達した時点で再度、パルス印加を開始します。指定された抵抗値を示してから閾値の「床」に達するまでの時間長から風速を推測しています。

熱線型風速計は極めて繊細なセンサーですが、他の測定方法に較べて非常に速い周波数応答と高い空間分解能を持っています。このために乱流または高速な速度変動が検討対象である流れの詳細研究では、ほとんど必ず使用されています。熱式風速計には、温度測定やデータ記録のような機能が付加されています。
速度および温度測定システム 風速/温度プロファイリング機能付き熱式風速計
熱式風速計のプロファイリングシステムは、提供されているなかで最も小型なセンサーです。このセンサーは速度と温度の双方を測定しています。複数のポイントのデータをロギングするシステムにより、ユーザーはアプリケーションを使い流れの特性のプロファイリングができ、グラフを用いたデータ解析ができます。このタイプのセンサーは、一般的には回路基板やヒートシンクの解析のために風洞内で使用されます。
WMS-20シリーズ カップ型風速計
カップ型風速計は、簡単なタイプの風力計です。このタイプの風速計では、3本または4本の水平なアームの各々の先端に半球形のカップが付いており、そのアームは互いに等角をなすように垂直軸に取り付けられています。水平面内のどの方向からの空気の流れでも、カップに当たり風速に比例した速度でカップを回転させます。したがって、ある時間の間のカップの回転数を数えることで、その時間内における速度の平均が得られます。4つのカップをもつ風速計 (4カップ型風速計) ではアームの先端にカップが対称をなすように配置されていますので、風は必ずあるカップに先行しているカップが存在した跡に吹いている形になります。また、反対側のアームの先端のカップでは、その背面に風が吹き付ける形になります。

この風速計はその発明者であるRobinsonにちなみロビンソン風速計とも言われますが、彼はその風速計を最初に設計したときに、カップの大きさにもアームの長さにも無関係にカップは風速の1/3の速度で回転するという間違った主張しました。この主張は、彼とは無関係にそれまでになされたいくつかの実験により検証されていたかに思われましたが、実際は真実とは全くかけ離れたものでした。風速計係数と呼ばれる風速とカップの回転速度の間の実際の関係は、カップおよびアームのサイズに依存し、2から3を少し超える値の間の値になる可能性が、後に発見されました。このために、このタイプの風速計が使われた各実験はその各々をすべてやり直す必要がありました。

カップが3つであるカップ型風速計 (3カップ型風速計) は1926年にカナダのJohn Pattersonが開発しましたが、1935年に米国のBrevoortとJoinerがこのカップをさらに改良しました。この結果、出力が線形であり風速60 mphまでは誤差が3%以下であるカップホィールの設計ができました。風の流れに対してカップが45度をなすときに最大のトルクが得られることをPattersonが発見しました。3カップ型風速計で得られるトルクは、4カップ型風速計からのトルクよりも変動が少なく突風に対する応答性も優れています。

1991年にオーストラリアのDerek Westonが、風向と風速の双方が測定できるようにこの3カップ型風速計をさらに改良しました。Westonは1つのカップにタグを付けました。このタグが風に沿ったり風に対向したりを交互に繰り返しますが、これに合わせてカップの回転速度が増減されます。このカップの回転速度のサイクル的な変化から風向が計算されます。一方、風速は、これまでどおりカップの回転速度の平均をとることで決められます。

現在、3カップ型風速計は風資源評価研究向けの業界標準の風速計として使用されています。NRGシステム#40Cは、この用途向けに最も一般的に使用されるカップ型風速計です。歴史的な経緯から、風速計のサイズは「crow」という単位で測定されています。



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