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圧力計入門

圧力計と圧力スイッチ
圧力計と圧力スイッチはプラントの計測機器としてもっとも多用されている装置に属します。しかし、その数の多さのゆえに、保守への注意、したがって信頼性が損なわれる可能性があります。その結果、古いプラントでは多数の圧力計や圧力スイッチが使用不可になっている場合も見受けられます。圧力スイッチが故障したままでプラント運転を続けると、プラントの安全が危険に曝されるかもしれないので、その状態は避けるべきです。逆に、故障したままの計器を使っていてもプラントの安全運転ができていたら、まず最初にその計器は不必要であることが分かります。したがって、プロセスの計測機器設計の目標は、数はより少ないがより効果的で信頼度が高い圧力計と圧力スイッチを設置するだけですむ良い設計をすることです。

プラント内の計測機器の数を減らすための1つの方法は (各ポンプの排出部に圧力計を付けるような) 習慣に従い計測機器を付けることを止めることです。その代わりに、装置やでデバイス毎にその必要性を個別に検討することです。この中には次の検討を加えるべきです:「この圧力計の読みを使い何をするのか?」の検討を行い、論理的に必要であることが分かった場合にのみ圧力計を付けます。圧力計がポンプが動いていることのみを示すためのものであれば、人間がポンプ音を聴いたりポンプの動きを見ればすむので、その圧力計は不要です。圧力計がプロセス内の圧力 (または圧力ドロップ) を表示して人間がそれに関して何か操作できるのであれば (たとえばフィルターを清掃する) その圧力計は有意なものですが、そうでない場合は無意味なものです。このような意図をもって圧力計の仕様を検討してみると、その使用数は減ると思われます。これまでよりも少ない数でもより高性能な圧力計を使えば、プラントの信頼性が向上します。


圧力計の設計
圧力計 (および圧力スイッチ) 故障に共通する2つの理由は、パイプの振動と結露です。寒い時期の結露は氷結して機器のハウジングを壊してしまうことがあり得ます。図 1には、以前から使われている圧力計と信頼性がより高い「(液体) 充填」圧力計の設計を示している。これまでの圧力計に使われている繊細なリンク機構やピボット、ピニオンは結露と振動の双方の影響を受けます。(液体) 充填圧力計では、可動パーツの数が少ないことのみならずそのハウジングが粘性オイルで充填されているので、その寿命がより長くなっています。この充填オイルには、圧力を表示するポインター (指針) の振動を減衰するのみならず周囲の湿った大気がハウジングへ入らないようにしているという利点があります。その結果、水が入ることも無いし結露も生じません。次のような特長をもつ圧力計が利用可能です:計測結果を読みやすくするための目盛照明付きの圧力計、デジタル出力ができる圧力計、周囲温度の変動に対する補正を行う温度補償機能をもつ圧力計、差圧計測用の差圧圧力計、および同じ目盛り上に2つの圧力表示をする全二重圧力計が用意されています。圧力計はその精度に従い、グレード4A (許容エラーは計測スパンの0.1%) からグレードD (許容エラーは5%) に分類されます。

圧力計保護用付属品
ほとんどどの圧力計にも付いている付属品は、圧力計とその測定対象のプロセスの間の遮断弁 (シャットオフバルブ - 図 5-2) です。このバルブを使い、圧力計の取り外しや保守の間に圧力計とプロセス間をブロックできます。次の2つの理由のいずれかのために、2個目のバルブが付けられることが多いです:(水蒸気のような) 蒸気のある環境で使用する際に結露を逃がすため、または高精度が要求される場合に外部の圧力源を基準した校正を可能にするために2個目のバルブが付けられることが多いです。

その他の付属品としては、蒸気のある中で圧力計を使う際に高温のために圧力計が壊されることを防止するためのパイプコイルまたはサイフォン (図 5-2A)、圧力ショックを吸収し出力の変動を平均化するスナバまたは圧力の脈動緩衝 (ダンピング) 装置 (図 5-2B) があります。凍結防止が必要な場合には、圧力計を蒸気または電熱トレースにより加熱すべきです。ケミカルシール (化学密封 - 図5-2C) は、粘性液体やスラリーの圧力測定において管路が詰まってしまうことを防止したり、センサーがプロセスで使用されている腐食性をもつ有害なまたは有毒な材料に触れてしまうことを防止します。これは、センサーの突き当たりで行き先のないキャビティ内にプロセスで使われる流体が凍結またはゲル状に貯まってしまうことも防止しています。このシールは、プロセスと圧力計に間に隔膜を設けて圧力計を保護しています。圧力計と隔膜の間のキャビティは、安定で熱膨張が少なく粘度の低い、そして腐食性がない流体で充填されいます。圧力計を高温下で使用する場合、しばしばナトリウムカリウム共融体が使用されます。この共融体は室温ではグリセリンと水の混合物であり、低温ではエチルアルコール、トルエン、またはシリコンオイルです。

圧力計は、化学密封が毛細管を使い圧力計に接続されている場合、可視性を向上させるように付けられます。精度を維持するためには、毛細管が高温に曝されすぎないようにすべきであり、その長さも25 ft (7.5 m) 以下であるべきです。化学密封自体は次の4つから構成されます:オフライン、「フロースルー」タイプのセルフクリーニング、延長シールエレメント、およびフランジ間に挿入されるウェハーエレメント。

低圧 (50 psig、350 kPa以下) 下や真空中での圧力計測では、化学密封内の隔膜のばね定数のために計測エラーが生じ得ます (これは、充填されている液体内に溶解されているガスが泡となって出てくるためです)。この理由から、このような用途ではシールよりも圧力リピータがしばしば使われます。圧力リピータの精度は0.1%~1% (フルスケール) であり、絶対圧力の測定範囲は0-5 mm Hg~0-50 psia (0-0.7~0-350 kPa) です。

圧力計のタイプ
PGPシリーズ商業用圧力計
商業用圧力計
OMEGA™商業用圧力計製品ラインアップが高信頼性を持っているのは、主にOMEGA™独自のスプリングサスペンデッドムーブメントのおかげです。ムーブメント全体は2つのスプリングの間に吊られており、その上にはブルボン管が、その下にはリンク機構があります。摩耗するパーツの使用は最小限にとどめています。そのうえ、サイクルライフを長くするためにこれらのムーブメントを超音波洗浄しシリコンオイルで潤滑しています。OMEGA™のスプリングサスペンデッドムーブメントは、耐衝撃性、耐脈動性、耐振動性がかなり高いムーブメントです。この結果、圧力計の寿命が長くなっています。ポンプ、ポータブル圧縮機、産業機械、油圧/空気圧システム、計測機器、加圧容器などへの取り付けを含むさまざまな用途に、OMEGA™の商用圧力計が使えます。これはユーザーにとっては、機械的な衝撃および振動に対する耐性がさらに大きくなることを意味しています。厳しい環境での使用から生じる影響に対する耐性が強くなったということは、圧力計の長寿命化にも貢献しています。
仕様 (タイプPおよびタイプCの圧力計):
最高温度: 66°C (150°F); | ケース:ステンレス鋼; | 目盛り部分のウィンドウ:ポリカーボネイトプラスチック; | ブルボン管:黄銅; | 接続:黄銅 1/4" NPT; | 計測範囲:真空~600psi; 精度:3%、2%、3% (計測範囲の上側、下側10%が範囲で3%、残りの範囲で2%)。
PGSシリーズ汎用圧力計
汎用圧力計
高精度が維持されていることと目盛りが読みやすいというOMEGA™汎用圧力計の製品群の特長は、ユーザーには重要なことです。多くの産業用途における要求を満足しているこの汎用圧力計は、蒸気ボイラーやその他の加圧容器、ポンプや圧縮機、多くのタイプの産業機械、化学や石油関連のプロセス産業、発電所、ならびにパルプ工場や製紙工場などで使用することができます。OMEGA™の汎用圧力計の製品群に使われるシステムは、標準的な316SS製のブルボン管システムであり、それは再現性や圧力変動に対する応答が一定であるように、正確な公差で設計、製造されています。警告:圧力計のすべてのコンポーネントは、コンポーネントが曝される媒質や周囲の運用条件に注意して、用途を間違えないよう選ばれるべきです。用途の間違えは圧力計にとっては致命的なものであり、故障を引き起こしたり、人を傷つけたり、装置を壊したりする可能性があります。
仕様 (タイプS圧力計):
最大温度:66°C/150°F; | ケース:研磨されたステンレス鋼; | 目盛り部分のウィンドウ:ネオプレンシーリングガスケット付きポリカーボネイトプラスチック; | ブルボン管:316ステンレス鋼; | 接続:背面または下部; | 接手:316SS、1/4" NPT; 目盛りサイズ:2-1/2"および3-1/2"の取り付け:ステム、フランジまたは「U」型ブラケット; 精度:1% (フルスケール)
PGMシリーズステンレス鋼産業用圧力計
ステンレス鋼工業用圧力計
OMEGAのPGMシリーズ圧力計は、化学、石油化学、精錬、発電、海洋、 食品および製薬などの分野の腐食性環境に最適な圧力計です。PGMシリーズの圧力計では63 mm (21.2") または100 mm (4") のケースを採用しており、構造は全ステンレススチール鋼製であり、IP65規格に準じた環境保護がなされています。PGMシリーズの圧力計の液体充填はフィールドでも可能です。液体充填圧力計は、ある種の用途には多くの利点をもたらすものです。液体充填圧力計は、ポンプや圧縮機、工作機械のような激しい振動や圧力の脈動が発生する装置や機器での使用に最適なものです。液体を充填することで、これらの厳しい環境からの影響が最小になり、圧力計の内部が保護され、メカニズムを連続的に潤滑することになります。結果として耐用年数が伸びることになります。液体を充填することで、腐食性環境から圧力計内部がさらに保護されることになります。グリセリンや鉱油、シリコンオイルなどを含む様々な液体が、液体充填圧力計に使用できます。
仕様 (タイプS圧力計):
作動圧力: フルスケールの75%; | 測定範囲外の圧力に対する保護:フルスケールの130%; | 周囲温度範囲:-40~60°C (-40~140°F); | プロセスの温度範囲:-20~80°C (-4~176°F); | 保護規格:IP65; | エレメント:316ステンレス鋼; | 目盛り部分のウィンドウ:63 mm:ポリカーボネート、100 mm:積層安全ガラス; | ケースとベゼルリング:304ステンレス鋼; | 圧力接続:316ステンレス鋼、窓のサイズが63 mmの圧力計では1/4" nptm、100mmでは1/2" nptm; | 精度:63 mm ± スパンの1.6%
PGHシリーズ産業用圧力計
工業プロセス用圧力計 この圧力計は、工場でもっともよく見かけるタイプの圧力計です。何千もの、この圧力計がプロセスで使われる圧力をモニターするために世界中で使用されています。真空中で、化合物中で、最大20,000 psi (1380 bar) までの範囲で利用可能密封することで、保護がさらに完全となり効率が向上しています。
仕様
目盛盤表示角度:270° | ケース:下部での接続:黒色フェノール、背面での接続:アルミニウム; | 目盛り部分のウィンドウ:二重強化ガラス; | ブルボン管:316ステンレス鋼 | 接続:1.2" NPT雄ねじ-316SS; | 取り付け:ステム、フラッシュ取り付けまたは表面取り付け; | 動作温度:最大121°C/250°F
PGTシリーズ試験用圧力計
タイプT:高精度/モネル接液型圧力計
計測室、あらゆるタイプの工場、すべての産業での研究室で使用するように設計された高精度の圧力計です。このタイプの圧力計のほとんどのモデルで0.25%フルスケールの精度を維持しています。性能、信頼性、正確な測定と一定の精度が合わさり、試験用圧力計を使う多くの分野での厳しい要求を満足しています。この試験用圧力計は、試験台での測定、製品検査、汎用圧力計の精度検証などで基準となる圧力計としてしばしば使用されます。視差エラー防止のために、ポインターの像を反射するステンレス鋼のリング状のミラーを使っています。ポインターがどこを指していてもその像がこのミラー表面で反射されるので、圧力計の表示値が非常に正確に読み取れ増す。
仕様
ケース:黒色仕上げコーティングがなされたエポキシ付きアルミニウム | 目盛り部分のウィンドウ:ガラス; | ムーブメント:ステンレス鋼; | ブルボン管:モネル | 接続:モネル; | 接手:1/2" NPT; | 目盛り:外部から調整可能、アルミニウム、白地、黒い目盛り線および研磨された反射ミラー環状バンド; | 精度:フルスケールの0.25%; | リング (モデル次第):ネジ付きアルミニウムまたはローレット頭ねじで取り付けられるヒンジ付きカバーリングをもつ取り付けフランジ | 取り付け:ステム
PGDシリーズ差圧圧力計
差圧圧力計
差圧圧力計は、2つの入力接続間の差圧を表示する頑丈な工業用圧力計です。一方の入力の圧力が必ず他方の圧力よりも高いような用途に対して、差圧範囲は最大の分解能を提供しています。一方の入力の圧力が他方の圧力よりも高かったり、低かったりするような場合には、プラスマイナスの差圧範囲を持つ圧力計を使うべきです。OMEGAのPGDシリーズの圧力計では、2つの独立したブルボン管を使う構造を採用しています。対向しているブルボン管は1つのピニオンギヤーで連結されており、直接圧力が読めるようにポインターを回転させています。2つのブルボン管は独立していますので、圧力計はポートを使い液体またはガスの片方または両方に対応できます。
仕様
精度:2-1-2%、ANSIグレードA (下側の10%では2%、中程の80%では1%、上側の10%では2%) | 目盛りのサイズ:4-1/2"; | 目盛盤表示角度:210°; | 目盛り部分のウィンドウ:二重強化ガラス | 接続:1/4" NPT雄ねじ; | センサーのタイプ:ブルボン管; | 接液パーツ:管 (黄銅); | 接手:真鍮; | ケース:黒色エポキシ被覆アルミニウム; | 動作温度:65°C (150°F); | 重量:3 lb (1.4 kg)
PGUFシリーズ液体充填可能型多用途圧力計 液体充填可能型多用途圧力計
OMEGAのPGUFシリーズの液体充填可能型多用途圧力計は、ポンプ、圧縮機、油圧システム、工作機械および石油化学処理機器などの広い範囲の用途向けに設計されています。衝撃や振動が激しい用途に対しては、このPGUFシリーズの圧力計はポインターの動きを減衰させるための液体をフィールドで充填できます。PGUFシリーズの液体充填圧力計の計測範囲は、次のようです: 0~30/2、60/4、100/7、160/11、300/20、600/40および1000/70 (PSI/BAR)。(窓のサイズが63 mm (21.2") である圧力計では、2000/140 and 3000/200 (PSI/BAR) の計測範囲も可能です)。定格精度は、計測スパンにわたり± 2.5%です。この圧力計の特長は、耐腐食性の304ステンレス鋼のケースと耐久性のあるポリカーボネート製のウィンドウです。真鍮製のムーブメントをもつ燐青銅のブルボン管、ソケット、NPT継手が標準構成です。PGUFシリーズの圧力計には、窓のサイズが38 mm (11.2")、50 mm (2") および63 mm (21.2") の設計のものがあり、接続NPT規格のネジが切られたポートが背面中央または下部にあります。



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