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温度調節器/PID制御とは

熱処理工程はPID制御が必要な典型的な例です。製品の品質が一定していることを保証するために、オーブンまたは加熱炉内部の温度を制限範囲内に保つ必要があります。製品の出し入れ時やランプ関数の適用時など、あらゆる外乱を適切に処理する必要があります。概念としては簡単ですが、PID制御の基礎となる数学は複雑であり、最適な性能を実現するには様々な相互作用パラメータにプロセス固有の値を選択しなければなりません。

これらの値を見出すプロセスは「チューニング」と呼ばれます。最適にチューニングした場合、PID温度コントローラは設定ポイントからの逸脱を最小限に抑制し、最小限のオーバーシュートで外乱または設定ポイントの変化に迅速に応答します。

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OMEGAエンジニアリングの今回のホワイトペーパーでは、PIDコントローラのチューニング方法を検討します。ほとんどのコントローラは自動チューニング機能を備えていますが、最適な性能を実現する上で、PIDのチューニングを理解することが役立ちます。各セクションでは以下を検討します:

PID制御の基本

PID制御はフィードバックに基づきます。ヒーターなどのデバイスまたはプロセスの出力を計測し、目標値または設定ポイントと比較します。差が検出された場合、補正を計算して適用します。出力をもう一度計測し、必要な補正を再計算します。

PIDとは、Proportional(比例)、Integral(積分)、Derivative(微分)の頭文字です。すべてのコントローラでこれら3つの数学関数すべてが使用されているわけではありません。多くのプロセスは、比例と積分の制御だけで許容レベルで処理することができます。ただし、微調整、特にオーバーシュートを回避するには、積分制御を加えることが必要です。

比例制御では、補正係数は、設定ポイントと測定値の差の大きさによって決定されます。この制御の問題は、差がゼロに近づくにつれて補正もゼロに近づき、誤差が決してゼロにならないという点です。

積分関数は、誤差の累積値を考慮することでこの問題に対処します。設定ポイントと実値との差が大きくなると、計算される補正係数が大きくなり続けます。ただし、補正に対する応答に遅延があるとオーバーシュートにつながり、設定ポイント周囲で変動する可能性があります。これを回避することが微分関数の目的です。達成されつつあるる変化率に注目し、設定ポイントに近づくにつれてその効果を軽減するように補正係数を徐々に修正します。

PIDコントローラチューニングメソッド

機器類が基本的に同じであっても、それぞれのプロセスには固有の特性があります。オーブン周囲の気流は変動し、周囲温度は液体密度や粘度を変化させ、大気圧は時間毎に変化します。PIDの設定(基本的には時間に沿って補正係数に適用されるゲインであり、それぞれ「リセット」と「レート」と呼ばれる微分計算と積分計算で使用します)は、このような局部的な差に合わせて選択しなければなりません。

大きく分けると、これらの設定の最適な組み合わせを決定するアプローチには、手動チューニング、チューニング経験則、オートチューニングの3つがあります。

手動チューニング

制御対象のプロセスについて十分な情報がある場合、ゲイン、リセット、レートの最適値を計算することが可能な場合があります。多くの場合、プロセスは複雑すぎて、特に、誤差修正に対する応答速度に関する知識が十分ではなく、初歩的なレベルのチューニングを達成することしかできません。

手動チューニングは、リセット時間を最大値、レートをゼロに設定し、ループが一定の振幅で変動するまでゲインを増やすことによって実行します(誤差修正に対する応答が迅速に発生する場合は、さらに大きいゲインを使用することができます。応答が遅い場合は、比較的小さいゲインが求められます)。次に、ゲインをその値の半分に設定し、適切な時間内にオフセットが補正されるようにリセット時間を調整します。最後に、オーバーシュートが最小限になるまでレートを増やします。

チューニング経験則

PIDループのチューニング方法を見出すため、長年の間にたくさんのルールが開発されました。おそらく最初で、しかも最良であることが間違いないルールがジーグラ・二コルス(ZN:Zeigler-Nichols)ルールです。

1942年に初めて、ジーグラとニコルスは、PICループをチューニングする2つの方法を発表しました。これらの方法は、システムにステップ変更を適用し、それで得られる応答を観測します。最初のメソッドは、応答のラグまたは遅延を計測してから新しい出力値に到達するまでにかかる時間を計測します。2番目のメソッドは、安定状態の振幅期間を確立することに依存します。どちらのメソッドも、その後、これらの値を表に入力して、ゲイン、リセット時間、レートの値を求めます。

ZNに問題がないわけではありません。一部の用途では、オーバーシュートや振幅の点で急激すぎると思われる応答が発生します。もう1つの欠点は、反応が遅いプロセスでは時間がかかり過ぎることです。これらの理由のため、一部の制御技術者は、Tyreus-Luyben法またはRivera-Morari-Skogestad法などの他のルールを好んで使用しています。

オートチューニング

現在市販されているプロセスコントローラのほとんどはオートチューニング機能を備えています。操作の詳細はメーカーによって異なりますが、すべて上記のルールに類似したルールに従います。究極的には、コントローラはプロセスが外乱または設定ポイントの変化にどのように応答するかを「学習」し、適切なPID設定を計算します。温度の場合、OMEGAのCNi8のような温度コントローラは、「オートチューニング」が選択されると出力を有効にします。変更が行われた遅延とレートの両方を観測することによって、最適なP、I、D設定を計算します。その後、必要に応じて手動で微調整することができます(このコントローラは、オートチューニングが実行されるには設定ポイントが現在のプロセス値より最低10℃高くなっていなければなりません)。

OMEGAのPlatinumシリーズの温度プロセスコントローラのような最新式の高度なコントローラは、オートチューニング機能にファジー論理を組み入れています。これによって、製造およびプロセス業界でよく見られるような複雑な制御状況で不正確さや非線形に対処する方法を提供し、チューニングの最適化に役立っています。

PID制御の一般的な用途

PID Control Simulator
PIDチューニングの理解
産業熱処理で使用されるオーブンや加熱炉は、加熱されている材料の質量や湿度がどのように異なっているかに関係なく、一定の結果を達成するために必要です。このため、このような機器にはPID制御が理想的です。流体を移動させるために使用するポンプも同様に、効果的なフィードバックループが実装されていないと媒体特性の変動によってシステムの出力が変化する可能性があります。

運動制御システムも一種のPID制御を使用します。ただし、応答が上記のシステムより何倍も高速であるため、上記とは違う形のコントローラが必要です。

PIDチューニングの理解

PID制御は、多数のプロセスを管理するために使用されています。補正係数は、出力値を設定ポイントに比較し、変化を可能な限り有効にしながら、オーバーシュートや振幅を最小限に抑制するゲインを適用して計算されます。

PIDのチューニングには、制御されているプロセスに適切なゲイン値を確立することが必要です。これは手動または制御経験則の手段によって実行できますが、ほとんどの最新型コントローラはオートチューニング機能を備えています。ただし、制御技術者がボタンを押した後に何が発生するかを理解することの重要性に変わりはありません。

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